沖縄県内の子牛初競り、平均59万円 前年比16%減、飼料高騰が影響で高値つけられず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
JAおきなわ(資料写真)

 JAおきなわ(前田典男理事長)は20日、1月に沖縄県内の8家畜市場であった初競りで取引された子牛価格は1頭当たり平均59万1216円で、前年同月比16・3%(11万5372円)減少したと発表した。ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で飼料価格が高騰し、購買者の肥育農家が高値をつけられなかったことが背景にあるとみられる。

 子牛は年間2万5千頭ほどが競りにかけられるが、その9割を県外の肥育農家が購入する。

 新型コロナウイルス禍で牛肉の消費が落ち込み、県内の子牛平均価格は20年5月に51万円台にまで落ち込んだが、その後は上下しながら回復に向かい、22年1月の初競りでは70万円台まで戻った。

 だが22年2月のロシアのウクライナ侵攻後、子牛のえさとなる飼料価格が高騰。円安も高騰に拍車を掛け、県畜産振興公社とJAおきなわの資料によると、22年3月(68万1925円)から23年1月(59万1216円)まで11カ月連続で、子牛の平均価格が前年同月を下回っている。

 全平均では下落が続くが、優良血統には高値がつく傾向もある。肥育農家が競り値を低く抑えれば、同様にえさ代の高騰などに苦しむ売り手の繁殖農家の経営をも圧迫することになる。

 JAおきなわの前田理事長は「ウクライナ情勢や円安による肥料価格高騰が落ち着いて先が見通せるようにならないと、なかなか(子牛の価格が)上がらない」と語った。

(當山幸都)