初日で4万人来場 無肥料パインジャム、魚のスパイスカレー… シマの恵みがずらり 花と食フェス、きょうまで 沖縄・奥武山


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 沖縄県那覇市の奥武山公園で4年ぶりのリアル開催となった「おきなわ花と食のフェスティバル2023」。生産者が工夫を凝らした農林水産物や加工品を求め、初日の21日は4万人弱が訪れた。屋内会場の県立武道館では手塩にかけて育てられた野菜や果物、花が展示されている。22日まで開催され、県産品の魅力を発信する。

無肥料栽培のパインのコンフィチュールなどをPRする屋我地島イリ玉城農園の玉城真代表=21日、那覇市の奥武山公園

 屋我地島イリ玉城農園(名護市、玉城真代表)は、除草剤や肥料を使用せずに栽培したパイナップルを用いた商品を展開している。青果として市場に出せない規格外のパインを加工し付加価値をつけることで、新しい商品として売り出す。

 一般的にパインは株によって収穫時期が変わるが、酸味が増してくる秋頃に収穫したものは、缶詰用として販売価格が安くなるという。農家は条件の良い青果として夏のシーズンに販売できるようにホルモン剤を投与することが多かった。小ぶりなものや傷がついたものなど規格外のパインは処分することもあり、活用方法を模索していた。

 そこで、除草剤や肥料を使わない「地球にも人にも優しい」方法を考えた。雑草をあえて生やしたままにすることで土壌の温度や水分量を保ち、肥料を与えないことで糖度を落とさず傷みにくいパインをつくることに成功した。玉城代表によると、無肥料栽培は全国でも希少だという。

 規格外のパインは県産黒糖やオーガニックシュガーを使用して作ったジャムの「完熟パインのコンフィチュール」、パインを55度以下の低温で乾燥させ、酵素を崩さないようにした「セミドライパインアップル」、「フルーツ甘酒」などに加工した。

 玉城代表は「人と環境に優しい商品を、ぜひ手に取ってみてほしい」とPRした。

 今後は名護市のふるさと納税の返礼品として採用される予定という。

(與那覇智早)


魚×カレー 離島でコラボ 女性、お年寄りにも人気

 近年、離島の特産の魚を具材に使ったスパイスカレーが相次いで誕生し、「おきなわ花と食フェスティバル」でも提供されている。

座間味村のカジキカレー=21日、那覇市の奥武山運動公園
伊平屋村漁協組合のマグロカレー=21日、那覇市の奥武山運動公園

 座間味村のCOCO KITCHEN(ココキッチン)がキーマカレーの材料に取り入れたのは、同村近海で取れるカジキだ。2年ほど前にできた商品で、開発に関わった前田直人さんは「魚粉も入れて甘さも出しており、女性に特に人気で、子どもも食べられる」と語った。

 伊平屋村漁協組合は、同村で水揚げされたマグロを加工した「マグロカレー」を提供している。会場で食べられるほか、瓶詰めの商品も購入できる。開発を手掛けた齊藤伸哉さんは「スパイスカレーだが辛さは控えめで、お年寄りにもおすすめ」とPRした。

(與那覇智早、當山幸都)