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明治ファミリー劇場 村田紳・沖縄明治乳業社長<仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 明治ファミリー劇場の初演は1981年7月。それまではピンク・レディーやジャイアントパンダ等を招致する単発のイベントだった。当時の企画課長が沖縄の子の語彙(ごい)が少ないのを案じ、それなら演劇がいいという発想から始まったのである。

 当時の兼元福照社長に企画書はいつ書いたのかと問われた課長が「夜中に目が覚めて朝までに書き上げました」と答えると、社長は「自分たちも重大な決心をする時はそうだ、夜中に起きて書いたのなら成功するだろう」と、目の前で決裁印を押してくれたそうだ。

 ぬいぐるみミュージカルの劇団「銀河鉄道」と出会い、40年余お世話になっている。スタート当時は、小中学校の体育館に暗幕を張り暑い中で行っていた。今では沖縄の夏の風物詩となり、親子二代、三代で来てくれて、うれしい限りである。

 創立50周年となる2019年には、初めて宮古島・石垣島の先島公演を行った。ところが先島では、それは沖縄本島のイベントだと思われ、応募がなく真っ青になった。それから幼稚園・保育園に案内をし、何とか招待人数を確保したと思ったら台風発生。しかし台風が避けてくれたのだ。さらにコロナ禍であれば公演中止だっただろう。神様に守られている気がした。

 初めて見る公演で、テーマソングが流れてもなじみがなくポカンとしていた子どもたちも、劇が進むにつれ感情移入し、悪者にやられるキャラクターに大きな声援を送っていた。その純真無垢(むく)な心に私の方が感動をもらった。感謝というほかない。