【比較表】沖縄の電気代、全国最高に 全体で320億円増…県が試算した値上げの影響と今後の対策


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 県は23日の県議会経済労働委員会で、4月以降の電気料金値上げによる県内全体の影響額として、国の負担軽減策を踏まえた場合でも現行から月額54億円、9月までの半年間で320億円程度の上昇が見込まれるとの試算を示した。値上げ後の標準家庭の電気料金は、沖縄電力が現時点で全国で最も高くなっている。玉城デニー知事は27日に県内経済界や市町村長らと上京して関係省庁を訪れ、沖縄の特殊事情を踏まえたさらなる支援を要請する方向で調整している。

 県の試算は、沖縄電力の値上げ内容や電力・ガス取引監視等委員会の資料を基に、契約メニューの電圧別の影響額をまとめ集計した。国の負担軽減策がない場合は、県全体の影響額は月額78億円になるという。

 大手電力10社のうち、23日までに沖電を含む6社が政府に値上げを申請したが、標準家庭のモデルとして示した値上げ後の電気料金は、沖電が現行から39.3%増の1万2320円と最も高い。事業者向けの「高圧」メニューも平均で50.02%の値上げを見込む。

 2月から国の電気代の負担軽減策が全国一律で始まる。ただ、沖縄は地理的、地形的な理由から高コスト構造にならざるを得ず、価格が高止まりする化石燃料への依存割合が高いなどの特殊事情があるとして、県は政府にさらなる支援策を要請する考え。政府の軽減策に含まれていない「特別高圧」と呼ばれる大口契約への配慮も求める。

 政府補助の対象外の特別高圧については、県も独自に支援策を検討しており、県議会2月定例会での予算提案を目指している。23日の経済労働委員会で県議からは、これまでも指摘されてきた沖縄の特殊事情を理由とした要請の根拠が弱いとの意見や、支援内容を具体的に詰めるよう求める声があった。
 (當山幸都)