沖縄県企業局、電気料金値上げで赤字転落の可能性 23年度試算、水道料金に影響も


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 沖縄電力が4月以降に電気料金を値上げすることを政府に申請したことを受け、28市町村に水道・工業用水を供給する沖縄県企業局が2023年度の動力費(主に電気料金)を22年度比約20億円(約1.5倍)増となる60億円になると見込んでいることが24日、同局への取材で分かった。県水道事業会計は02年度以来、約20年ぶりの赤字決算に陥る可能性がある。同局によると、電気料金の高騰を要因とした赤字転落は過去に例がないという。

 沖縄県の玉城デニー知事は27日、県経済団体会議と県市長会、県町村長会と上京して西村康稔経済産業相と面談するほか、内閣府沖縄担当部局などを訪ね、島しょ県・沖縄の特殊事情を踏まえた支援を要請する。

 企業局は沖電と主に事業者向けの料金プラン「特別高圧B」を契約しており、同局の電気料金の大半を占めている。沖電は同プランを約1.5倍値上げする計画を示しており、企業局は22年度当初予算の電気料金約40億円を基に23年度見込みを単純試算した。玉城知事は上京時、国の支援策の対象外となっている同プランを対象とするよう要請する。

 企業局総務企画課は単純試算であることを強調しつつ「電気料金値上げの要因となっている燃料費調整単価の動向、国の支援策を注視していきたい」とし、電気料金高騰がすぐに水道料金値上げにつながらないことを強調した。

 松田了局長は「沖電が申請した電気料金の値上げが認可されると、企業局の経営にも大きな影響を与える。引き続きコスト削減と安定運営に努めたい」と述べた。

(梅田正覚)