オリオンのビール酵母入りもっちり生パスタ「沖縄Tacoスパ」誕生 名護こども食堂が企業、大学生らと開発 利益で学習支援


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「沖縄Tacoスパ」を販売する名護こども食堂の神谷康弘さん(右)と沖縄高専専攻科の嘉手納悠さん(中央)、東京学芸大学の阿部友莉花さん=13日、名護市のイオン名護店

 【名護】名護こども食堂(新里善彦会長)がこのほど、オリオンビールの乾燥ビール酵母を練り込んだ生パスタとタコスミートを掛け合わせた「沖縄Tacoスパ」(1食429円)を開発した。寄付に頼らず、地域経済に貢献する形で子どもたちの自己肯定感を高める名護こども食堂と東京学芸大学などの「地域課題解決プログラム」の一環。

 13~15日の3日間、イオン名護店で300食を販売したところ完売した。2月に東京で販売会を予定しているほか、今後は定期販売も視野に入れるという。

 名護こども食堂は沖縄工業高等専門学校や東京学芸大学の学生たちと協力し、子どもたちに食事や居場所、学習支援の提供を無償で続けている。

 沖縄Tacoスパは、「商品開発と販売を通して貧困問題の解決と地域貢献に取り組みたい」と両校の学生と名護こども食堂の児童らが昨年4月から開発に着手した。子どもの貧困問題解決などに取り組む名護こども食堂の趣旨に賛同した県内外の企業や名護ロータリークラブ、名護十字路商店連合会なども協力した。

 学生らは市営市場の一角を借り、添加物を使用していない食物繊維が豊富なもちっとした食感の生麺を完成させた。昨年12月にイオン名護店でテスト販売したところ、わずか数時間で用意していた130食が完売した。

 13日にイオン名護店で開催された「地もの市」には、買い物客がパッケージに見入るなどして興味深そうに確認し、購入していた。沖縄高専専攻科1年の嘉手納悠さん(21)は「子どもたちを支援したいという気持ちを持っている人はたくさんいる。商品開発や販売などを通して、さらに子どもたちの支援につなげたい」と話した。

 名護こども食堂の神谷康弘さん(東京学芸大学非常勤准教授)は「寄付に頼る支援活動は長続きしにくいが、地元の企業と共に地域貢献に参加することで子どもたちの学びや自信にもつながる。今後も貧困問題など地域の抱える課題の解決に向けた地域連携活動を継続していきたい」と述べた。

 販売方法の改善などを提案してきた東京学芸大4年の阿部友莉花さん(22)は「沖縄Tacoスパはすごくおいしい。購入を通して活動を応援していただければ」と笑顔を見せた。

 沖縄Tacoスパの利益は名護こども食堂の学習支援に充てられる。
 (松堂秀樹)