沖縄で離島住民避難、3月に初の図上訓練 政府、県と先島5市町村参加


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 政府が中国の侵攻による台湾有事などを念頭に、沖縄県の離島住民の避難方法を検証する初の図上訓練を3月に実施することが分かった。政府関係者が29日、明らかにした。内閣官房や国土交通省、消防庁に加え、沖縄県と石垣市、宮古島市、与那国町、竹富町、多良間村の5市町村が参加。民間航空機や船舶を活用し、迅速に住民を避難させることができるかどうかを確認する。

 初実施、台湾有事想定

 図上訓練は国民保護法に基づき行う。他国による武力攻撃の可能性がある「武力攻撃予測事態」を政府が認定し、避難を進めることを想定する。

 日本最西端の与那国島は台湾からの距離が約110キロと近く「台湾有事に巻き込まれるリスクが高い」とされている。政府は観光客を含めて約12万人の避難が必要になると見込んでいる。

 沖縄本島の住民には屋内避難を要請する一方、先島諸島の住民は九州に避難させる。

 図上訓練を通じて空港や港湾施設がどの程度使えるかを調べ、避難の実効性を高めていきたい考えだ。

 岸田文雄首相は26日の衆院代表質問で、政府と沖縄県などが図上訓練を実施すると表明。「練度の向上や課題の改善を図り、迅速な住民避難が行われるよう努める」と意義を強調していた。特定の事態を想定したものではないとしている。


<用語> 国民保護共同訓練
 2004年9月に施行された国民保護法に基づく訓練。外国から武力攻撃を受けた場合に住民を迅速に避難させ、救援するため、国や自治体、消防などが連携を確認。情報を共有する目的で実施している。訓練については、自治体の長は住民に参加協力を要請できると規定。当初は、テロを想定した実動訓練や図上訓練が中心だったが、北朝鮮の弾道ミサイル発射が相次いだことを受け、16年度からミサイル飛来を想定した住民参加型の避難訓練も実施している。