人気の天ぷら幕の内 旬の野菜やこだわりのだしで かっぽう山吹(名護市)<うちなー味まーい>73


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人気のランチメニュー天ぷら幕の内=23日、名護市大東のかっぽう山吹

 鳥のさえずりが聞こえてくるかのような落ち着いた雰囲気の一軒家が、名護市中心部を流れる幸地川近くにたたずむ。1月、「かっぽう山吹」でランチメニューの天ぷら幕の内を注文すると、咲き始めた桜の花をかたどった紅芯(こうしん)だいこんが刺し身のつまに添えられ、旬の野菜とともに春の訪れを告げていた。

 自ら腕を振るうオーナーの新里清光さん(66)は、海洋博覧会が開催された1970年代、本土の調理師学校を卒業し、故郷に戻った。この地で当初、母親が営んでいたのは食堂だったが、接待需要を見込み、店を割烹(かっぽう)に転換した。やんばるの地でそんな店が続くのか、と冷ややかな声もあったというが、今も客足は絶えず、会食には欠かせない場所となった。毎朝、鰹(かつお)と昆布でだしを取ることから始まり、店は44年目。地元農家との交流も深い。

 そのだしをベースにした料理はどれも確かで上品な味わいだ。ナスの煮びたしはほどよい歯触り。えびや魚、野菜の天ぷらを天つゆにつけ、素材の歯ごたえと彩りを楽しめる。

 結婚する20~30歳代の若い人が両家の顔合わせに使うことも増えた。新里さんは「ハレの日の食事を楽しんでほしい」と話す。穏やかな店員さんの「ごゆっくりどうぞ」の声に甘えて、いつまでも座っていたくなる。大切な人と、大切な日に利用したい店である。

 ランチは午前11時半から午後2時ラストオーダー、ディナーは午後5時から午後7時まで。休日は日曜と不定休。名護市大東1の7の19。専用駐車場あり。電話0980(52)2143。

(増田健太)

オーナーの新里清光さん