反撃能力の保有「緊張高まる」61% 「抑止力の向上ならず」も過半数 <沖縄県民世論調査>


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 琉球新報社などが実施した世論調査で、反撃能力(敵基地攻撃能力)や南西諸島への自衛隊配備強化を進める政府方針に対して、県民の間に理解が広がっていない現状が明らかになった。「抑止力強化」に向けて、沖縄への自衛隊ミサイル部隊配備を計画する岸田政権の方針に対し、周辺国との「緊張関係は高まる」と捉える意見も強く、政府と県内世論との落差も際立つ。各項目の回答を紹介する。

 他国の基地などをたたく長射程のミサイルを指す反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有について、「反対」は55.6%、「賛成」は25.1%と否定的見解が過半を超えた。「どちらとも言えない」は19.4%だった。反撃能力の保有を受けた周辺国との関係については「緊張は高まる」が61.0%で突出して高く、「変わらない」は18.4%、「分からない、答えない」が14.8%、「緊張は和らぐ」が5.8%と続いた。

 敵基地攻撃能力が地域の緊張を生み、不測の事態に巻き込まれることへの懸念が高い傾向にあることが浮き彫りとなった。この結果を反映してか、県内に配備される自衛隊のミサイル部隊が「抑止」につながるか否かについても、「抑止力向上につながらない」が56.5%と最も高かった。「抑止力向上につながる」が25.9%、「どちらとも言えない」が17.6%と続いた。

 敵基地攻撃能力の県内配備は「既定路線」ということもあり、保有を反対する人は、南西諸島への自衛隊配備に反対する理由を「沖縄が他国の標的にされるから」を挙げた人が回答者259人の84.9%(219人)を占めた。

 一方、敵基地攻撃能力への賛成者のうち、南西諸島への自衛隊配備に賛成する理由として最も多いのが「抑止力の強化につながるから」で回答者97人の81.4%(78人)を占めた。
 (梅田正覚)