琉球新報社などが実施した世論調査で、反撃能力(敵基地攻撃能力)や南西諸島への自衛隊配備強化を進める政府方針に対して、県民の間に理解が広がっていない現状が明らかになった。「抑止力強化」に向けて、沖縄への自衛隊ミサイル部隊配備を計画する岸田政権の方針に対し、周辺国との「緊張関係は高まる」と捉える意見も強く、政府と県内世論との落差も際立つ。各項目の回答を紹介する。
政府は昨年12月に「安保関連3文書」で、自衛隊による空港や港湾などの民間インフラの使用拡大方針を示した。これについての賛否を問う設問では「反対」が58.6%となり、「賛成」の18.7%の3倍超となった。「どちらとも言えない」と回答した人は22.7%だった。
回答を年代別に見ると40代から80代で「反対」の回答が多数を占める一方、回答者数は少ないものの若年層では「賛成」の回答が多数を占めた。「反対」と回答した人は、70代では75.7%、80代では66.2%だった。一方、30代では「賛成」が73.3%と「反対」の20.0%を大きく上回った。「賛成」と回答した人の割合は10代で50.0%、20代は42.9%で、20代は「賛成」と「反対」の割合が同率だった。
民間インフラの使用拡大に「反対」と回答した人のうち、南西諸島への自衛隊配備強化に「反対」と回答した人は81.4%、防衛増税について「支持しない」と回答した人は95.1%、反撃能力の保有について「反対」と回答した人は79.9%だった。自衛隊による民間インフラの使用拡大方針に対して反対する回答者の多くが、防衛力強化についても否定的な回答を示す傾向が強かった。
(武井悠)