自衛隊強化に「反対」54% 沖縄県民、最前線化に危機感 <沖縄県民世論調査>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報社などが実施した世論調査で、反撃能力(敵基地攻撃能力)や南西諸島への自衛隊配備強化を進める政府方針に対して、県民の間に理解が広がっていない現状が明らかになった。「抑止力強化」に向けて、沖縄への自衛隊ミサイル部隊配備を計画する岸田政権の方針に対し、周辺国との「緊張関係は高まる」と捉える意見も強く、政府と県内世論との落差も際立つ。各項目の回答を紹介する。

 安全保障関連3文書で示された南西諸島への自衛隊配備強化を巡り、反対が54.2%に上り、賛成を25.5ポイント上回った。年代別では40~80代の年齢で「反対」意見が賛成を上回り、70代は7割が反対した。

 回答者数が少ないが、30代は8割が「賛成」と回答するなど、10~30代の若年層は賛成の意見も多く、年齢層が高くなるにつれて反対が強くなる傾向があった。性別で比較すると、「反対」の回答は男性で47.1%だったのに対し、女性は61.2%に上り、違いが出た。

 自衛隊配備強化に「賛成」とした回答者に、最も強い賛成理由を聞くと「抑止力の強化につながる」との回答が42%で最も多かった。そのほか「他国の侵略に備える必要がある」が30.7%、「国際情勢を考えると仕方がない」が17.8%、「地域振興や人口増加につながる」が6.5%と続いた。

 「反対」の理由については、「沖縄が他国の標的にされる」との回答が59.3%に上り、過半数を上回った。そのほか「沖縄の基地負担が増える」が19.2%、「他の国との緊張関係を高める」が16.5%などと続いた。

 自衛隊配備強化に「賛成」と回答した人のうち、防衛省が進める沖縄へのミサイル部隊配備が抑止力につながるかを聞いた質問への回答割合をみると、「つながる」が71.9%、「つながらない」が11.3%、「どちらとも言えない」が16.9%だった。自衛隊配備強化に賛成する意見の中にも、ミサイル部隊配備に対して、一定層が否定的に捉えていることがうかがえた。(池田哲平)