【記者解説】電力値上げ、上げ幅圧縮の事例多く 申請の行方に注目 沖縄電力の公聴会


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公聴会で説明する沖縄電力の本永浩之社長=30日、那覇市牧志のてんぶす那覇(又吉康秀撮影)

 沖縄電力の電気料金の値上げ申請を巡り30日にあった公聴会では、事前に経済産業省に寄せられた声も含めて県民生活への影響や負担を指摘する意見が相次いだ。消費者の厳しい見方や、沖電が申請内容に盛り込んだ経営効率化の企業努力が今後の審査にどう反映され、最終的な値上げ幅が決まるかが注目される。

 値上げが認められれば43年ぶり。県外の電力大手を含むこれまでの料金審査では、申請時の値上げ幅が審査で圧縮されて認可に至るケースが多い。標準家庭で39.3%、事業者向けの「高圧」でも平均50.2%という沖電の大幅な値上げ申請がそのまま認められるかは不透明だ。

 沖電の本永浩之社長は公聴会で、値上げの要因となった燃料コストの上昇幅を、人件費削減などの経営効率化で一定程度抑え込んだとして「単なる値上げではないことをご理解いただきたい」と重ねて強調した。

 意見を述べた消費者からは、値上げはやむを得ないとの立場から、再生可能エネルギーの導入促進を求める提言もあった。沖電にとって、化石燃料に依存する電源構成からの脱却は今後も試練であり続ける。値上げへの理解を得る上で、取り組みの可視化も不可欠になる。
 (當山幸都)