「汚染源は何?」農家は寝耳に水…高濃度PFAS検出に不安広がる 調査と対策求める声


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環境省の暫定指針値を超えるPFASが検出された水タンク=1日、沖縄市池原

 【沖縄】沖縄市池原の農業用地下水から、環境省の暫定指針値を超える量の有機フッ素化合物PFASが検出されたのは、現地農家にとって寝耳に水だった。ある農家は「20年以上前に行政が水質を確認したときは問題なかったのに」と、あぜんとした表情で「基地周辺に限った話ではないのか」と肩を落とした。池原には多くの農地があり不安が広がっている。

 沖縄市北部の農業関係者でつくる倉敷ダム流域振興促進協議会の池原秀明会長(79)は、農業用水の水タンクの水源となる地下水が1キロ以上離れた沖縄自動車道の沖縄北インター近くにあるとして「まず汚染源が何かを突き止めないと、国、県、市がどういう対応を取れるのかも決まらない。浄化の前提条件となる徹底調査を求めたい」と話した。「タンクを使っている農家も数値のことはほとんど知らないだろう。風評被害を招かない対策も必要だ」と求めた。

 市池原で食用野菜を栽培する70代の農家は高濃度のPFASが検出されたとする農業用水を使っている。

 一方で国は農業用水のPFASに関する基準値を定めていないため「農業を続けていいのかも分からない。行政には農家に対する説明と指針の策定を急いでほしい」と戸惑いを見せた。さらに、月5万円の収益があるとして「仕事ができない状況になれば、金銭的な補助はあるのか」と生活を心配した。
 (島袋良太、名嘉一心)