農業用水「使っていいのか判断できない」 高濃度PFAS、国基準なく地元は困惑 沖縄市と県


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沖縄市役所

 農業用水施設から人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)が高い値で検出されたことについて、施設を管理する沖縄市と、調査を実施した県はいずれも国が農業用水に関するPFASの基準を設定していないことを強調し「使用して良いのか悪いのか判断できない」と苦慮をのぞかせた。

 市農林水産課によると、約50農家が同施設の水を使っている。同課は「調査した県からも農業用水に使うのを控えるようにといった連絡はない。市として判断することは難しい」とした。

 市環境課も「国や県が農業用水に関する基準を出しておらず、農作物への影響も分からない。まずは基準を決めてもらわないと、市として農家に対応を求めることはできない」と強調する。調査した県に対しては「結果を市に投げるだけではなく、どのような対策を取るべきか協議してほしい」と求めた。

 処分場では廃棄物が山積みとなっており、県は2014年度から処分場内外の水に含まれる化学物質を定期的に調査している。18年度からはPFASも対象とし、19年度からは住民の求めに応じる形で農業用水施設3カ所でも実施している。結果は県と市、処分場業者、周辺自治会、農業団体などでつくる協議会に報告してきた。

 県環境整備課は「(PFASが高い値で検出された)農業用水施設の取水源は処分場から距離がある。現段階で処分場が汚染源となっているかは特定できていない」と説明。PFASが農業用水を介して農産物に移行する可能性については「基準が設定されておらず、使って良いか悪いかは判断できない」とした。
 (石井恵理菜、安里周悟)