糖蜜、許容量超え廃棄し海へ 沖縄・伊是名の流出 JAは仕組み認識せず


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糖蜜が流出した現場を視察するJAおきなわの前田典男理事長(右)ら=4日正午、伊是名村内花

 【伊是名】沖縄県伊是名村にあるJAの製糖工場からサトウキビを搾って出る糖蜜が大量に流出した件で、流出元とされる場所に許容量を超える糖蜜が廃棄されていたことが分かった。JAおきなわの前田典男理事長らが4日、現場を確認し、被害を受けたアーサ生産者や村関係者らに謝罪した。「生産ができるよう配慮していきたい」と補償に努める考えを示した。

 JAおきなわなどによると、工場のタンクで水が混ざってしまい処分することになった糖蜜約300トン分を工場近くの「沈砂池」と呼ばれる用地に廃棄した。沈砂池は一定量がたまると、水路などに流出する「オーバーフロー」の仕組みになっていた。職員にはフローの仕組みになっているとの認識がなかったことも分かった。人為ミスが流出につながった可能性がある。

 4日も現場付近のアーサ養殖場や河口付近は黒っぽい色に染まり、周辺には甘いにおいが漂っていた。収穫期を迎えていたアーサ養殖場が被害を受けた。謝罪を受けた生産者の男性(33)は「全部廃棄になるので補償していただくしかない。来期のアーサはできるのだろうか」と語った。

 現場を見た前田理事長は「大変なことをしてしまった」と声を落とし、奥間守村長や漁協関係者とも面会。糖蜜の回収方法はまだ決まっていない。県は週明けにも現地に職員を派遣し調査する。
(長嶺晃太朗)

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