知らないうちに登山ルートを外れ…沖縄の山で遭難、直近5年で最多 行動制限緩和が背景か


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男性が遭難した与那覇岳の山道=1日午後2時10分ごろ、国頭村の与那覇岳

 2022年の県内の山岳遭難は前年比9件増の23件(暫定値)で、過去5年で最多になることが5日までに、県警のまとめで分かった。今年1月31日には国頭村の与那覇岳を登山中の男性(71)=今帰仁村=が遭難し、約25時間後に発見、救助された。県警は「登山の際は登山ルートに沿って歩き、十分な準備をするなどして安全に山を楽しんでほしい」と注意喚起した。

 県警によると、山岳遭難は18年が8件、19と20年がそれぞれ9件、21年が14件だった。22年が最多になった背景には、新型コロナウイルスの行動制限などが緩和され、社会活動が活発になったことがあるとみられる。

 22年の23件で遭難者は92人おり、2人が死亡した。内訳は鉄砲水が58人、道迷いが27人、滑落と転倒がそれぞれ2人、転落が1人などがあった。
 22年8月6日には大宜味村のター滝で、同月25日には名護市の源河川で鉄砲水が相次いで発生し、大勢の行楽客らが取り残された。ター滝の鉄砲水では20代女性1人が亡くなっている。この2件が鉄砲水の人数を押し上げた。18~21年に鉄砲水による遭難者はいない。

 道迷いでは、知らないうちに登山ルートを外れ遭難する事例が多いという。県警地域課は「知らない山に入る場合は1人で入らず、通信手段の確保など事前準備を整え、登山ルートに沿って山登りをしてほしい」と呼び掛けた。
(友寄開)