【深掘り】児童132人、今後の行方は?浦添市学童クラブ利用停止問題 保護者らに動揺が広がる 市は新事業者を募集


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保護者実施のアンケート回答の一部。保護者からは子どもの預け先がなくなるとの不安の声が相次いでいる

 【浦添】浦添市立当山小学校区で学童クラブ4施設を運営する明徳学園(金城美紀代表)が過去に「無効な雇い止め」を行ったとして、市から約4千万円の補助金の打ち切りや公設学童の利用停止を通知され、存続の危機に立たされている。市はすでに新たな受け皿となる事業者を募集しており、2月上旬には決定する方針。現在132人の児童が通う当山学童の保護者には動揺が広がっており、市や議会に対して明徳学園の存続を求める陳情書を提出している。

 問題の発端は2022年8月、雇い止めにあった元職員2人による市への告発。元職員2人は前代表で現浦添市議の仲程淳也氏の親族と支援者で、いずれも仲程氏が代表時代の20年4月から7月にかけて採用された。親族とは雇用契約書は交わさず、支援者の女性とは当初、「更新なし」で約半年の有期契約を結んだ。仲程氏は親族の男性について「法人の代表を引き継ぐつもりで採用した」と語る。

 明徳学園によると、2人は21年2月実施の浦添市議選の数カ月前から選挙応援で欠勤していたが、給料は支給されていたという。仲程氏から代表を引き継いだ金城氏は21年12月と22年2月にそれぞれ雇い止めを通知し、2人はその後、雇用期間満了で退職した。

 退職した2人は直後に那覇地裁に労働審判を申し立て、明徳側は2人との間で、(1)無効な雇い止めの通知を行ったことが違法であったことを認め、撤回する(2)雇用契約を合意解約する―などの内容で和解した。

 市は聞き取り調査や監査を実施。雇い止めに至った経緯に関係なく、「無効な雇い止め」が行われた事実や明徳側の市に対する一連の対応を踏まえ、公設1施設の次年度利用を認めないことや補助金の打ち切りを決定した。松本哲治市長は「われわれとしてどちらが正しいかと認定する立場にはない」とした上で、監査などの結果「『問題なし』とは、ならなかった」と正当性を主張する。

 一方、明徳側は金城氏が代表に就任して以降、保育料の減額や保護者会の設置、職員の処遇改善などに努めてきたと主張。金城代表は「市は和解調書の文言だけではなく、園の実態を見てほしい」と訴える。

 同様の訴えは保護者からも上がる。小学2年の娘を学童に通わせている南功栄さん(46)は「今の当山学童は安心して子どもを預けられる。雇い止めの背景を見ることなく補助金を打ち切ろうとする市の対応はおかしい」と憤る。

 明徳側は現在、市や議会に対して補助金の継続などを訴えるとともに、市の公募にも手を挙げた。市によると、公募には複数の事業者が名乗りを上げている。市が募集しているのは明徳学園が運営する公設1施設を含む計4カ所の学童を引き継げる事業者で、1社に限定しない考え。

 仮に選考委員会が明徳を選定した場合について松本市長は「明徳学園の姿勢が評価されて選ばれることになるが、何も瑕疵(かし)がなかったことにはならない。われわれとしては事業者が代わっても代わらなくても質は上げてもらう」と語った。
 (吉田健一)