【記者解説】MICE事業や消防防災ヘリ…積み残し事業を前進 2023年度県予算案のポイントは


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 玉城デニー知事の2期目の任期で初となる当初予算編成は、長年積み残されてきた大型事業を前進させる姿勢が際立った。目玉は仲井真弘多県政時代の2010年代から計画が持ち上がっていた大型MICE事業だ。一時、頓挫した同事業を民間資本の活用で着手にこぎ着けた意義は大きい。さらに翁長雄志県政時代からの懸案だった消防防災ヘリの整備は一部市町村の同意が得られずに事業進展が遅れていたが、来年度から整備を進める。

 長年の懸案を前進させつつも、「台湾有事」を回避する一助とするべく知事公室内に「地域外交室」を設置するほか、若年妊産婦やヤングケアラーの支援、「子どもの貧困対策」を拡充する「玉城カラー」も打ち出した。

 名護市辺野古への新基地建設計画を巡って国と対立を深めた翁長県政時代から沖縄関係予算は減額傾向にあることから、玉城知事は22年度から公共事業予算の確保を部局横断で検討する会議を立ち上げた。議論の成果もあり、23年度予算案は沖縄振興事業以外の各省補助事業を拡充する。教員不足などに対応する23の新規事業に計6億2千万円を計上した。

 一方、来年度も引き続きロシアのウクライナ侵攻を契機とした物価高が続く見通しの上、5月には新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられる。沖縄はあらゆるコストが高い島しょ県であると同時に、全国一貧困率が高い県だ。予期せぬ事態が社会的弱者の生活に直撃しないよう、23年度はさらなる機動的な予算措置が求められる。 (梅田正覚)