不透明な時代の戦略提言 県経営者大会、識者ら講演


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(左)「成長するための企業文化の創り方」をテーマに講演したモチベーションジャパンの松岡保昌社長。(右)「これからの日本経済と企業の進むべき道」と題し講演した作家の江上剛氏

 県経営者協会(金城克也会長)は6日、「VUCA時代を生き抜くための企業戦略」をテーマに、第36回県経営者大会を那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開いた。対面での大会開催は3年ぶり。モチベーションジャパンの松岡保昌社長と作家の江上剛氏が登壇し、新型コロナウイルス禍などによる先行きが不透明な状況を乗り越える経営の在り方などについて提言した。

 松岡氏は「成長するための企業文化の創り方」と題し講演した。成長する会社のキーワードとして「変化適応力」とやるべきことをやり抜く「強み創出力」を挙げ、「その二つを実現するには社員が会社を愛する強さがなければならない。主体性を発揮できる人事の仕組みや制度、施策が機能しているかが重要になってくる」と指摘した。

 企業の組織戦略、人事施策を考えるためのヒントとして、(1)自社が大事にする価値観(2)自社の強み(3)自社の社員の特徴―の3点を挙げ、「働く人の行動や考え方で企業理念が実現し、自社の中核となる強みが強くなるような行動を促す人事の仕組みが必要」と強調。提言したヒントを徹底して考えるよう促した。

 江上氏は「これからの日本経済と企業の進むべき道」の題で講演。松尾芭蕉の句「世の人の見付けぬ花や軒の栗」を紹介し、「例えばサクラの花は皆きれいと思うが、ビジネスで成功した人は世の人が見つけぬ花をどうやって見つけようかと工夫してきた」と持論を語り、ユニークな視点を持つ必要性を説いた。

 富士フイルムのフィルム事業から化粧品事業への転換や、イトーヨーカドーのコンビニ業界参入などを例に「失敗してもいい、やってみよう。そこには人が見つけられない花がいっぱいあるはずだ」と強調した。

 大会テーマの「VUCA」は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった、将来の予測が困難な状況を意味する造語。
 (小波津智也)