フードリボン社がインドネシアで量産へ パイナップルの葉から天然繊維 大手アパレル3.5億円出資 沖縄


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インドネシアの農家を視察したフードリボンの宇田悦子社長(左から3人目)ら=2022年11月(同社提供)

 パイナップルの葉やバナナの茎から繊維を抽出している素材メーカー「フードリボン」(大宜味村、宇田悦子社長)が、世界有数のパイナップルの生産地、インドネシアで繊維の抽出を開始する。環境負荷が少ない天然繊維の量産化に向けて本格的に動き出す。

 アパレル業界では製造過程での環境汚染が問題となっており、オーガニックコットンなど環境負荷の少ない素材の需要が高まっているが、供給が追い付いていない。同社は「サステナブルな天然繊維の新たな選択肢として、商流に乗せていきたい」と意気込んでいる。

 特許を持つ繊維抽出技術を広く使えるように機械を小型化した。早ければ今月末からインドネシアの農家に無償で貸与し、パイナップルの葉から繊維の抽出を始める。繊維重量に応じて農家に直接対価を支払うことで、農家の所得向上にもつなげたい考えだ。

 インドネシア最大の農業機関「INDUK KUD」(インダック)とフードリボン、天然繊維循環国際協会の3者で基本覚書(MOU)を締結しており、今回の取り組みもインダック主導で行う。

 フードリボンは今年1月に国内アパレルメーカー大手のTSIホールディングス(東京)などから3億5千万円の出資を受けた。繊維のトレーサビリティーシステムの構築や、アジア諸国へのさらなる展開に充てる。

 ファッションの環境汚染が問題となる中、業界では紡績から最終製品までのサプライチェーンで自然環境や人権に配慮したものを選ぶ流れも強まっている。フードリボンは開発した機械の技術を今後、公開する予定。平良香織常務は「みんなで良いものを作っていきたい。天然繊維を広げることが環境汚染問題の解決につながっていく」と話した。
 (玉城江梨子)