〈141〉沖縄に多い緑内障 健診での発見難しく


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 みなさんは「緑内障」と聞いてどんなイメージがあるでしょうか。「怖い病気」「失明する」「治らない」「手術できない」などのイメージがあるのではないでしょうか。緑内障、昔の言い方だと「青そこひ」は視神経という目の神経が障害されて、視野(見える範囲)が次第に欠けてくる病気です。一度神経が障害されると元には戻りませんので、失われた視野が戻ることはありません。

 あまり知られていませんが、現在日本における失明原因の第1位は緑内障です。また沖縄県では、急に眼圧(目の硬さ)が高くなり、そのまま放っておくと失明する可能性がある「急性緑内障発作」を引き起こす可能性がある、「原発閉塞隅角緑内障(げんぱつへいそくぐうかくりょくないしょう)」というタイプの緑内障が多いという研究結果が出ています。割合でいうと、40歳以上だと全体の2.2%です。「あれ?」と思った人が多いでしょう。「2.2%だとそんなに多くないさー」と。しかし、同じような研究を内地で行ったものでは、原発閉塞隅角緑内障は0.6%という割合ですので、沖縄県が3.7倍多いということになります。

 さらに、この原発閉塞隅角緑内障には予備軍(6%)、予備軍の予備軍(8.8%)もあります(図)。これらを合わせると、40歳以上では17%、60歳以上では29.5%となります。つまり、沖縄県では60歳以上のうち、3.5人に1人の割合で急性緑内障発作を起こす可能性があります。少なくないですよね。

 怖い話ばかりしてきましたが、大事なのは「早期発見」です。早く見つけて適切な治療を行うことにより急性発作は起こりません。ただ、このタイプの緑内障(予備軍含む)は自覚症状がありませんし、視力や眼圧は正常なことが多く、人間ドックや健康診断では見つけることが難しいため、眼科医による診察が必要になります。

 「見えているから大丈夫」ではないところが緑内障の怖いところです。これから先も今と同じような見え方の質、生活の質を維持するためには、早期発見、そして状況に応じて適切な治療を適切な時期に行うことが大切です。一度眼科を受診してみてはいかがでしょうか。

(力石洋平、琉球大学病院 眼科)