「デジタル資産」がもたらすあらたな経済圏とは 日立製作所の梅田多一氏と近藤佑樹氏が講演〈琉球フォーラム〉


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講演する(右から)梅田多一氏、近藤佑樹氏

 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の2月例会が8日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルであり、日立製作所マネージドサービス事業部の梅田多一氏、同社研究開発グループの近藤佑樹氏の2人が「社会の変化と企業の在り方」と題して講演した。高度なデータ保護が可能なデジタル技術ブロックチェーンを使った「NFT(非代替性トークン)」などの可能性を語った。

 梅田氏はブロックチェーンの特長として取引を保証する「耐改ざん性」と、権限が分散された「非中央集権」の2点を指摘。異業種がつながった例として保険金給付の手続き簡素化、公共交通の乗車券と観光施設の入場チケットを一元化する取り組みを紹介した。

 近藤氏は有名スポーツ選手のトレーディングカードを通じたファンコミュニティー活性化の事例などを挙げ、NFTによるデジタル資産がもたらす新たな経済圏の創出について解説。企業間取引ではサプライチェーン情報が可視化され「ESGの情報追跡や、カーボンニュートラルの取り組みにも応用されていくのではないか」と述べた。

講演に耳を傾ける会員ら=8日、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 ブロックチェーン上で利用者自らがデータの管理、活用を行い、新しい価値を生み出す「Web3・0」は、巨大企業のITシステムにとらわれない新たなインターネット概念として注目される。梅田氏は、Web3・0時代に向けて「企業活動の見える化、デジタル化(DX化)をしておくことが準備になり、生産性と競争力向上につながる」と締めくくった。

(當山幸都)