希少種の密輸防止の最前線・那覇空港 現場職員の工夫、そして悩みは? 国・沖縄県・JALが研修会


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希少な固有種の密輸を防ぐ方策について意見を交換する国、県、日本航空の職員=2日、那覇市鏡水の那覇空港

 世界自然遺産に登録された沖縄島北部、西表島をはじめとした沖縄に生息する希少な固有種の密猟・密輸を防ごうと、環境省沖縄奄美自然環境事務所と県環境部自然保護課、日本航空は2日、那覇市鏡水の那覇空港で職員らを対象とした研修会を開いた。環境省が希少な固有種と疑われる動物の識別について解説したほか、対処について職員らが意見を交換した。

 研修会では、環境省が沖縄・奄美の世界自然遺産は「独特で豊かな生物多様性」が評価されている一方、希少な固有種の違法採集が脅威となっていると指摘。密猟を防ぐために関係機関が連携して登録地で実施しているパトロールの効果を説明した。

 併せて、密輸を防ぐために空港・港湾での水際対策の強化が不可欠であることも強調した。規制対象種か類似種かを識別するために開発され、奄美空港で試験を進めているアプリを紹介した。

 意見交換では、職員から保安検査場での手荷物、中が見えない貨物での識別の難しさの指摘があった。希少な固有種の一覧を作成し確認に努めているといった工夫も紹介された。

 JALカーゴの新垣裕之さんは「貨物に何が入っているか、お客さまの申告が前提となっている」とした上で「密輸は防ぎたいが識別が難しい。アプリ導入は効果的だ」と期待した。

 環境省は今後、行政・司法機関、企業との連携、アプリで識別できる種の数を増やすなど対策を強化していく。
 (安里周悟)