24歳でがん、出産、夫の適応障害・・・著書「生きる」を発刊 会社員・ズンタローさんの思い 沖縄・那覇


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若年性乳がんを発症した自身の体験や思いをつづった著書「生きる」を発刊したズンタローさん=1月、那覇市

 【那覇】那覇市出身の会社員、ズンタローさん(39)がこのほど、24歳で若年性乳がんと診断され、その後の出産、子育てや、自身を支えてくれた夫の適応障害などの経験をまとめた著書「生きる~若年性乳がん奇跡の未来、人生の主人公になるために~」を発刊した。がん発症から14年たった昨年、38歳で完治し、現在は3姉妹の子育てに奮闘する。「生きた証しを振り返られるように、子どもたちが読み返せるように、いつかは本を書きたいとの思いがかなった。ぜひ多くの方に手に取ってほしい」と話す。

 「乳がんです。治療しなければ1~2カ月持つか…」。脇にできた青あざを周囲に指摘され、病院で診察を受けたズンタローさんに伝えられたのはあまりにも受け入れられない現実だった。「父ががんで亡くなっているので、今度は私だとなると母が気の毒で。命を全うしていないのに死ぬわけにはいかないという気持ちがこみ上げてきた」と振り返る。

 将来の妊娠、出産を考えながらの治療を始める傍ら「やりたいことをやり切ろう」と夢だったラジオパーソナリティーになるため、県内のラジオ局に企画を提案。3社で番組を持ち、自身の闘病談などを明るく発信した。治療で適正体重をオーバーし、ジムにも通うなど「充実した闘病生活を送っていた気がします」と笑う。

 著書では、がん治療をそばで支えてくれた恋人との結婚、3人の子どもの出産に子育てと「ジェットコースターに乗っているようなにぎやかな毎日」もつづる。一方、夫がストレスをきっかけに適応障害を発症し、家族から笑顔が消えていくなど日常が変化する様子もまとめている。

 「私の人生は前半にぎゅっといろんなものが詰まっていたんです。常に『序章』で、これからどんなことが起きるか分かりませんが、人生を目いっぱい笑顔で楽しみたいと思います」と力を込めた。

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 (新垣若菜)