「首里劇場シンポジウム」(首里劇場調査団主催)が10日、那覇市の県立博物館・美術館1階博物館講座室で開催された。県と県文化振興会の「2022年度沖縄文化芸術の創造発信支援事業」の一環。デジタルデータ化する技術を活用するなど、戦後の大衆文化遺産を未来に残す方法について多角的に議論した。
第1部で、首里劇場の概要や劇場を記録する試み、興行文化や建物の調査について報告が行われ、第2部でパネルディスカッションを実施した。
首里劇場調査団の平良竜次副代表は、開館当初は芝居や映画の上演、上映に加え、地域のコミュニティー施設として親しまれるなどした劇場の歴史を報告した。沖縄アーカイブ研究所の真喜屋力代表は3Dデータ化などを利用し、劇場を保存する試みを紹介した。その上で「劇場の形と歴史、ストーリーを後世に伝えたい」と語った。
県立芸術大学の鈴木耕太准教授やアトリエNOA所属の普久原朝充一級建築士も登壇した。シンポジウムの内容は、首里劇場調査団ホームページで近日中に公開する予定。首里劇場は1950年に開館した現存する沖縄最古の芝居小屋兼映画館とされる。2022年4月に館長・金城政則さんが亡くなり、現在は休館している。(藤村謙吾)