辺野古の漁業権除外を正式に発表 玉城知事「反対変わらぬ」 臨時制限区域内


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工事のために設置された「臨時制限区域」を示すオレンジ色のフロートが張り巡らされた大浦湾=2016年4月、名護市瀬嵩

 沖縄県は10日、9月に県全域で実施される漁業権免許の一斉切り替え時に、辺野古新基地建設工事で「臨時制限区域」となっている海域には漁業権を設定しないことを正式に発表した。その上で玉城デニー知事は同日、辺野古新基地建設に反対する姿勢は「いささかも変わるものではない」とのコメントを発表。沖縄防衛局が提出した設計変更申請を県が不承認とした処分の正当性が裁判所で認められれば、「直ちに臨時制限区域の解除を求めていく」と強調した。

 9月の漁業権免許の切り替え時に、県は臨時制限区域にある漁業権を除外して手続きを進める。理由として、2020年に水産庁が示したガイドラインで、「他の法令により漁業の操業が禁止されている水面」に漁業権を設定すべきではない―と明示していることなどを挙げた。

 臨時制限区域は漁船操業制限法で漁船の操業が常時禁止されている。また、国と名護漁協との間で漁業権放棄に対する損失補償契約が結ばれ、利害関係者となる漁協と国が漁業権除外を求めていることから、漁業権の設定は難しいと判断した。

 新基地建設工事のため国が設定した臨時制限区域内にある漁業権を巡っては、国は名護漁協が放棄したことをもって漁業権はなくなったとし、サンゴを破壊する際に必要な「岩礁破砕許可」を県から得る必要はなくなったと主張していた。

 一方の県は、国が過去に示した法解釈をもとに、漁協が漁業権を一部放棄しても、効果は県知事が出した免許を漁業者が「行使しない」と内部で意思決定したにとどまるとし、公共財である漁業権の設定変更には知事の変更免許が必要だとして意見が対立した。裁判で争われたが、2018年度に県の訴えが棄却された。

 県は、裁判では中身の審議が行われなかったことから、漁業権の一部放棄には知事の変更免許が必要だとの考えは変わらないとしている。
 (知念征尚)