ソフトバンク・嘉弥真 完璧な「火消し」追求 33歳ベテラン、直球磨く<疾走県勢2023春キャンプ>


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不動の「火消し」役を目指し、精度を高めるべく練習を重ねるソフトバンクの嘉弥真新也=宮崎市生目の杜運動公園(謝花史哲撮影)

 昨季、自己最多の28ホールドで6年連続二桁を記録したソフトバンクの嘉弥真新也(33)=八重山農林高出=は12年目のシーズンに向けて着々と準備を進める。オフの自主トレで「結構投げ込んできた」と例年に比べても春季キャンプの入りは上々の様子。セットアッパー、ワンポイントとして確固たる地位を築いた「火消し」の仕事人は完璧を追い求めてまい進する。

 「充実したピッチングだった」。56試合に登板した昨季は開幕してから21試合連続で自責点0を重ねた。一度途切れたが、後半戦にかけても28試合連続で無失点で切り抜けた。109人の打者を相手に最少の自責点3にとどめ、防御率0・99と安定感抜群の投球が光った。

 しかし悔やむのは最終盤に優勝が懸かる試合での登板。「安打されることがあった」と言い、「大事な試合の時ほど、もっと考えて慎重にいかないといけないと思った」と振り返る。

 窮地にも「大丈夫だろうと構えられる」と、動じない性格が中継ぎの資質を高めた。ただそれだけでは救援は務まらない。「球速が落ちるとただの左ピッチャー。真っすぐをさらに磨く練習が重要。大事な場面での集中力も高めていきたい」と、ベテランの域に来ても底上げに余念がない。最速は149キロ。キャンプ期間は150キロを目標に置き、常に145キロ以上を投げられる状態に高めることを心掛ける。

 チームは昨季リーグ2位で、もう一歩のところで優勝を逃した。「僕が投げるのは優勝争いしている時。抑えたら勝つし、打たれたら負ける」。重要な役割への責務をしっかりと胸に刻み「目の前のバッターのことだけを考えてやるだけ」と昨季の記録を超えてリーグ制覇につなぐ覚悟だ。
(謝花史哲)