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教員の負担減へ外部人材を 保護者ら早期改善を訴え<先生の心が折れたとき>第2部(2)教員アンケート(下)


教員の負担減へ外部人材を 保護者ら早期改善を訴え<先生の心が折れたとき>第2部(2)教員アンケート(下)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

 「先生以外でできる仕事は早く切り離して」「先生は授業や生徒との関わりに専念して」―。琉球新報が連載「先生の心が折れたとき」に合わせて実施したウェブアンケートは、教職員だけでなく保護者、一般からも回答を募った。教員不足による子どもへのしわ寄せを懸念し、教員以外ができる業務や部活動指導などを、外部の人材に任せるべきという提案が多かった。一方、国や県は教員の負担軽減のために外部からの人材参画を図っていると主張するが、実際は一部の学校にとどまっていて、教職員全体の業務改善にはなっていない。

 保護者からは教員不足によって子どもの学力低下につながることや、心の支援が行き届かないのではないかとの懸念が多く寄せられた。教員不足に関するウェブアンケートへの全回答(1571件)のうち、保護者・一般からの回答は409件だった。

 膨らむ不安

 保護者からの回答で、学力への影響については「不在期間に習えなかった単元がいまだに苦手。塾でカバーできるかと思ったが、そうはいかなかった」(50歳女性)、「授業の進度が他のクラスから遅れた。学級内が乱れた」(44歳女性)、「受験に影響がある」(45歳女性)、「現状では塾に通わせることのできる家庭の子どもしか学力は伸びない」(45歳女性)などの声があった。「課題だけ与えられ自習にされることがあった」と、14歳中学生からの声も届いた。

 教員不足による不安も色濃くなっている。「担任が一年で3回代わったことがあり、誰に相談すればいいのか分からなかった」(57歳女性)、「他のクラスに分割になり、その期間毎日子どもが学校に行きたがらず精神的にも不安定になっていた」(40歳女性)、「子どもと教師、保護者の間で信頼関係がなくなる」(40歳女性)などがあった。子どもも保護者も、不安が増す一方、相談することもできないままになっている現状がうかがえる。

 社会問題

 教員不足を解消するために必要なことを聞くと、仕事内容を区分し、早急に外部人材を活用すべきとの意見が多かった。保護者らはもちろん一般からの回答もあった。当事者ではなくとも教員不足を社会問題として捉え、早期改善を訴える声が広がっている。

 「免許がなくてもできる仕事をお願いできる人材を各学校に配置。子どもに関することに税金を使ってほしい」(46歳女性)、「本来教員は生徒と向き合うのが仕事なので事務的な事を減らす方法を考えて負担を減らして」(53歳女性)、「部の顧問は強制せず、有償で民間を雇う方向へ」(57歳女性)、「今、地域の指導者が外部コーチとして指導している。他の部活も地域へ移行できるところはやった方がいいと思う」(48歳女性)などの声があった。

 支援員配置

 教員の事務作業などを担う人材として、文部科学省は小中学校を対象に、授業の準備補助やデータ入力、新型コロナ感染防止の消毒作業などを担う「教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)」配置事業を2018年度から実施している。

 県内の22年度の配置数は111人。同年度は一人ずつの配置だったため、置かれたのは111校で県内全小中学校の約4分の1にとどまった。

 公立中の部活動については県教委の調査に24自治体の約9割が地域に受け皿となる団体があるか「把握していない」「調査中」と回答、地域移行が進んでいないことが分かった。残りの17自治体からは調査への回答がなかった。

(嘉数陽)