【北部】実弾を携行していたなどとして、火薬類取締法違反の容疑で書類送検されたチョウ類研究者の女性(44)=東村=は、米軍北部訓練場返還地で見つかる大量の廃棄物問題を告発するため、抗議活動を繰り返している。女性は「少しでもやんばるの現状を多くの人に知らせることが大切だ。そのために、自分に前科や前歴がついても構わない」と言い切る。
女性は2011年ごろから東村高江に足を運び、野生生物の研究などを続けてきた。一方で、米軍のヘリパッドの建設や廃棄物が大量に残された返還地などで自然が壊される現状を目の当たりにしてきたという。
沖縄防衛局は2017年の北部訓練場の一部返還地引き渡し前に、汚染物質の除去などの支障除去措置を実施。引き渡し後も回収作業を続けているとしている。一方、女性の調査では、回収されないままの空包などの廃棄物が大量に見つかっている。
表現の自由に詳しい関西大学の高作正博教授は「国が放置している問題を訴える活動が刑事事件化されたことで、他の抗議活動の萎縮につながらないか危惧している。活動が過剰との見方もあるが、国対個人という非対称の構図で、従来のような問題提起をしても、多くの人には伝わらなかった可能性がある。このような声や問題をどうすくい上げるか、議論が必要だ」と述べた。