【動画あり】沖縄県産の「ウニ丼」を再び…県がシラヒゲウニ「復活プロジェクト」 陸上養殖を後押し


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出荷前のシラヒゲウニ=本部町の県栽培漁業センター

 沖縄県は漁獲量が激減しているシラヒゲウニの「復活プロジェクト」の事業化を進めている。生息数を増やすため稚ウニの放流が行われてきたが、近年は陸上養殖が注目され、ウニの種苗生産を手掛ける県栽培漁業センター(本部町)に対する需要も増加。同センターでえさとなる配合飼料の開発や大量生産の技術開発を進め、陸上養殖に取り組む漁業関係者や民間事業者を後押しする。

 県は4月からの事業開始に向けて、必要経費を新年度予算案に盛り込んだ。

 県内でウニの漁獲量は1970年代のピーク時に年間2000トンを超えたが、乱獲の影響で激減し、ここ数年は統計上ゼロが続く。ウニ漁が盛んだった今帰仁村などを含む本島中北部の海域は禁漁となっていて、「県産ウニ丼」を見かけることもなくなった。

 シラヒゲウニの種苗生産に取り組む栽培漁業センターでは、漁業関係者や民間事業者から養殖や放流の要望を受け付け、人工授精を通じてふ化させた幼生を1~3センチの稚ウニに育てて出荷している。生息数を増やすための放流が80年代から行われてきたが、十分な成果は得られていないのが実情だ。

 そんな中、近年は陸上養殖の試みに期待が集まっている。民間事業者の参入もあって養殖用稚ウニの需要は高まり、年間10万匹ほどの同センターの生産規模は、本年度は2倍程度に増える見込みとなっている。

 シラヒゲウニは雑食性で、海藻のみならず桑など陸上植物もえさになる。実入りは1匹当たり平均13グラム。県の事業では、生産拡大に向けえさとなる配合飼料の開発や飼育方法の検討を進める。えさの改良による実入りや味の向上も模索する。

 センターの中村勇次副所長は事業について「産業の復活を雇用創出や観光への波及、地域活性化につなげ、県産ウニ丼がまた食べられるくらいに回復させたい」と語った。

(當山幸都)