本会議めど立たず 普天間負担軽減推進会議 沖縄県「部会だけでも継続しないと」一致点を模索


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普天間飛行場

 約1年ぶりに開かれた「普天間飛行場負担軽減推進会議」作業部会。名護市辺野古移設を巡っては県と国、宜野湾市の立場は異なり、すれ違う展開が続いている。官房長官や関係閣僚、知事、市長で構成する本会議は2019年4月以来、開かれておらず、15日の作業部会でも開催のめどは見いだせなかった。

 負担軽減推進会議は仲井真県政時の14年に発足した。年に3回の会議が開かれ、安倍晋三首相(当時)が全てに出席していた。だが、県政交代以降は首相ではなく、官房長官が政府側の代表として出席するようになった。辺野古移設阻止を掲げる翁長県政と玉城県政では1回ずつしか開かれていない。

 作業部会も初期と比べ開催頻度が落ちている。関係者の一人は「間が空くと出席者の顔ぶれも変わる。認識を共有するだけで時間を使い、議論が前に進みづらい」と嘆いた。初期に議論していた主題の一つ、普天間飛行場の「5年以内の運用停止」は19年2月に期限が切れたまま、新たな期限は設定されていない。

 県は辺野古新基地建設工事の長期化などを踏まえ、移設と切り離した普天間飛行場の危険性除去を求めている。一方、国は長期化してもなお「辺野古が唯一」と固執している。

 新基地建設を巡り議論が平行線をたどる一方、出席者は飛行場から派生する汚染問題や跡地利用計画などで一致点を見いだそうと模索する。池田竹州副知事は、普天間飛行場周辺で有機フッ素化合物が高濃度で検出されている問題について対応を求めた。国側も環境省と厚生労働省の局長級が初めて出席した。

 県関係者は「全国的な問題になりつつあることも国は意識しているかもしれない」としつつ、議論の進展に期待した。

 宜野湾市の和田敬悟副市長は国家プロジェクトとしての跡地利用推進などを求めた。市幹部は辺野古移設を巡って議論が停滞していることを踏まえ「議論を新しい展開にするため(一日も早い危険性除去を求めつつも)跡地利用の話に力を入れている」と説明した。

 政府関係者の一人は「確かに辺野古移設について一致は難しいが、顔を合わせて話をすれば、足並みがそろう点も見つかる」と語った。

 県関係者は「作業部会だけでも継続しないと、意見を言う場がなくなってしまう」と話し、開催を続ける考えを示した。
 (明真南斗、知念征尚)