バスケットボールの第98回天皇杯全日本選手権大会の準決勝戦が15日行われ、琉球ゴールデンキングスは沖縄アリーナで横浜ビー・コルセアーズと対戦し、96―91で勝利、初の決勝進出を果たした。キングスは前半の立ち上がり、牧隼利、岸本隆一、ジョシュ・ダンカンの3連続3点弾でスタートダッシュに成功し、56―44とリードを奪った。後半は横浜がディフェンスの強度を上げ得点が伸び悩む間に点差を詰められたが、残り12・9秒、横浜がファールゲームを仕掛ける中、アレン・ダーラムがフリースローを4本中3本沈めて逃げ切った。宇都宮市体育館で行われた試合は、千葉ジェッツが宇都宮ブレックスに77―65で勝利した。決勝は3月12日に東京都の有明コロシアムで行われる。
ホーム熱戦 振り切る
レギュラーシーズン6連勝の勢いとホームのブースターの声援を力にしたキングスが、横浜を下して初の決勝進出を決めた。横浜とは今シーズン1勝1敗の5分。熱戦を繰り広げながらもキングスは着実に得点を重ねた。
外からの攻撃だけでなく、岸本隆一が一気にリング下へ切り込みシュートを打った。インサイドではジャック・クーリーが23得点17リバウンドと存在感を発揮した。牧隼利や岸本、今村佳太ら日本人選手の3点弾成功率が66.7%と高確率で沈めた。だれがコートに立っても得点力が落ちることなく、選手層の厚さはこの日も健在だった。
一方で横浜の河村勇輝1人に45得点と暴れられ、会場の応援が静かになる場面も。それでも岸本の3点弾でやり返し、クーリーのブロックが決まると観客の熱が戻り、ブーイングなどで横浜のフリースローを何度も外させた。
決勝の舞台である有明コロシアムはbjリーグ時代からキングスが何度も戦った地だ。そこで優勝も経験している岸本は「なじみの場所で千葉と試合をできるのは縁を感じる」と感慨深そうに語る。「試合を重ね、チームのバスケットの完成度、クオリティーは上がってきている。是が非でもタイトルをとる」と頂点を目指す。
(屋嘉部長将)
キングス(B1)
96―91(29―18,27―26,18―23,22―24)
横浜BC(B1)
【評】スタートダッシュを決めたキングスが猛追する横浜をかわし逃げ切った。連続3点弾でリードを奪うと、リズムに乗ったキングスが流れをつかんだ。選手が変わっても攻撃のテンポは落ちず、自慢の選手層の厚さも見えた。横浜の河村勇輝1人に45得点を挙げられたが、そのほかの選手は二桁得点を1人に抑える激しい守備も生きた。チーム全体で90.5%と高い確率でフリースローを決めたのも大きかった。
死闘だった
桶谷大HC(キングス)の話 死闘だった。選手たちが用意していたプラン通りできた。ボールがよく回っていて、チームでバスケットができていた。ホームでプレーできたことが大きく、僅差もあったが、ファンの人たちが勝たせてくれた。
河村は圧巻
青木勇人HC(横浜BC)の話 序盤の点差が開いたのが最後まで響いた。(45得点の)河村のプレーは素晴らしく、見ていてわくわくする。圧巻の一言。沖縄アリーナの(観客一体となった)雰囲気を感じて、いろんな方の思いが詰まった空間だなと思った。