2024年パリ五輪で初採用されるブレイクダンスの全日本選手権最終日は19日、東京・代々木第二体育館で行われ、女子で世界選手権4位の津波古梨心(ダンサー名・Riko)、比嘉美空(Chura)はいずれも準々決勝で敗れ、5位入賞となった。男子は昨年の世界選手権準優勝の半井重幸(SHIGEKIX)が、決勝で岡田修平(SHADE)に勝って3連覇を果たした。菊地教稔(NORI)が3位、17歳の菱川一心(ISSIN)は4位。女子はRikoに勝利した福島あゆみ(AYUMI)が2連覇を達成した。世界選手権を制した湯浅亜実(AMI)は2位。半井の姉で第1回大会覇者の彩弥(AYANE)が3位で、湯浅の姉の亜優(AYU)が4位だった。
緩急自在、音楽と融合 半井
勝利が決まった瞬間、タオルで顔を覆って安堵(あんど)と喜びに浸った。男子の半井は、決勝で3回のバトルとも相手を上回って頂点に立ち、20歳にして3連覇を達成。「めちゃくちゃうれしい。優勝以外はないと言い聞かせてここに来た」と、場内インタビューで声を弾ませた。
緩急自在の立ち踊りから、片手で倒立した状態で体を高速回転。派手な動きで観客の視線をくぎ付けにした。
決勝の最後のラウンドでも素早い動きから音楽に合わせてピタリと動きを止める「フリーズ」を高い精度で決めてみせた。
準々決勝から決勝まで動きの切れは落ちず、貫禄勝ち。「決勝が一番楽しく踊れた。疲れなかった」と躍動感にあふれていた。
今年はパリ五輪の代表選考が本格化し、金メダル候補として注目度が高まっている。今大会も重圧を感じていたが「五輪で金メダルを取りたいのであれば、これぐらいのプレッシャーは感じておいた方がいい」と吹っ切って会場入りした。
第一人者は「ブレイキンの象徴になるような存在になっていきたい」と、競技を背負って踊り続けていく。
ライバル対決 39歳福島制す 持てる力出し切る
女子決勝は39歳の福島が昨年の世界選手権覇者との激闘を制した。
3ラウンドのうち1ラウンド目は相手を下回ったが、中盤以降に盛り返した。「必死。自分が何をやったのかもあまり覚えていない」と、持てる力を全て出し切った。
今大会は細かな技術や独創的な動きで年下のダンサーたちを次々と退けた。2021年の世界女王は「一つ一つ頑張った先にパリがあれば」と自然体で来年の大舞台を目指す。
準備したもの出せた
岡田修平の話 自分の準備してきたものが洗練されて出せるようになったと感じている。そこがとても良かった。
出し切れたと思う
湯浅亜実の話 自分のやることは全部できた。出し切れたかなと思う。ダンスにはいろんなスタイルがあると伝わっていればうれしい。
最後に踏ん張れた
半井彩弥の話 この数年、表彰台に立てず、悔しい思いが続いた。準決勝で負けたが、最後にあと一歩踏ん張ることができてうれしい。
(共同通信)