名護市区 保守分裂か 市議と現職、立候補の意思固める 12年ぶり選挙戦の可能性 24年県議選


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(左から)比嘉忍氏 末松文信氏 山里将雄氏

 【名護】2024年予定の沖縄県議選。16年と20年の過去2回無投票だった県議選名護市区(定数2)は、保守系名護市議の比嘉忍氏(55)が立候補の意志を固めたことで、12年ぶりの選挙戦になる可能性が浮上した。現職県議で自民党県連会長代行の末松文信氏(75)も出馬する意向で、保守分裂となる可能性があり、関係者に動揺が広がっている。

 比嘉、末松両氏に加え、現職で「オール沖縄」勢力の山里将雄氏(66)が出馬すれば、選挙戦になる可能性がある。末松氏は現在3期目。保守市政下の2002年~10年に助役、副市長を歴任。22年の名護市長選で再選を果たした渡具知武豊氏陣営の選対本部長を務めた。比嘉氏は渡具知氏との距離も近く、18~22年に名護市議会与党会派「礎之会」の会長を務め、議員らを取りまとめた。渡具知氏がどちらにつくかが焦点になりそうだ。

 渡具知氏は18日、本紙の取材に「できれば一本化が望ましいが、(私は)2人の立場を尊重しなければならない。まだ期間がある。今後の動向を見守りたい」と述べるにとどめた。

 県連関係者は「比嘉氏は国政選挙でも先頭に立って運動した。県連に公認を求めて来た場合、執行部としてはかなり悩ましい事態になるのは確かだ」と眉間にしわを寄せる。ある与党市議は「与党内でも、どちらを支持すべきか迷っている人もいるはずだ」と困惑気味に語る。関係者によると、比嘉氏は3年前の県議選出馬を見送ったことを後悔しているといい「今回は不退転の決意で、たとえ無所属でも出馬するだろう」との見方を示す。

 末松氏については、22年の市長選などで、票固めに向けた、支援団体への要請の頻度が足りないと、地元関係者から不満を漏らす声も上がっていた。同年9月の県知事選では、与党側の事務所が末松氏の事務所と、市内の一部建設業者を中心とした事務所の2カ所に分かれるなど「分裂」の兆候がみられていた。一方、「良識派として県連にはなくてはならない人物だ」(県連幹部)との評もある。

 渡具知氏の支持者の一人は、保守票が割れたとしても議席を失う可能性が低いとの見方を示し「長らく選挙戦をやってこなかったので、名護にとって誰が県議にふさわしいか選ぶことになっても、いいのではないか」と語る。

 オール沖縄関係者は「地元経済界がどう動くかが気になるが、最終的には一本化してくるだろう」と保守分裂の可能性を低いとみる。一方で「こちらも一枚岩とは言えない。仮に両氏が出るとしても、2議席獲得を目指してくるのではないか」と警戒感をあらわにした。保守系が一本化されるか。今後の動向に注目が集まる。

(長嶺晃太朗、松堂秀樹)