「学校に戻っても、回りを信用できない」。県内の学校で教員をしている男性は、現在うつ病で休職している。校内でのトラブルについて、責任の取らされ方に納得がいかないことが疾患への引き金となったが、人事評価システムを背景に、同僚や管理職への不信や不満が以前から鬱積(うっせき)していた。
仕事にやりがいを感じ、人事の総合評価では高評価の「S」を何度も取ってきたが、評価システムにいくつもの疑問を感じている。「コミュニティーが小さい沖縄では、プライベートで距離が近い管理職と教員がたくさんいる」。評価の平等性に、疑問が拭えない。導入後、特に感じているのは「職員会議などで活発な議論がなくなった。学校の雰囲気が変わった」。
透明性が担保され、説得力があるものであれば、評価を受けることには「賛成」と話す。自分の教育活動を振り返ることもでき「やりがいにつながる可能性はある」という。
ただし給与への反映は「危険」で、改善が必要だと考えている。「生活費に影響するから、評価を気にする人は必ず出てくる。管理職の顔色ばかり気にして、最優先すべき子どもたちに関することも言えない状況もある。そんな制度をわざわざ導入する意味が理解できない」
今は復帰ではなく、退職を考えている。教育に関する専門書が書棚に並ぶ自宅で「やりがいのある仕事だよ。とっても感動があるし、楽しい仕事なんだけどね。理解できないことが増えた」と寂しそうに話した。
(嘉数陽)