オリックスの宮城大弥(21)=興南高出=は新人王に輝いた2021年シーズンから2年連続で2桁勝利を挙げ、リーグ連覇に大きく貢献した。それでも現状に満足せず「一つでも(多く)タイトルを獲得できるように」と、さらなる飛躍を自らに課して4年目のシーズンに突き進む。
現在、取り組むのはフォークの強化だ。140キロ台後半の速球と鋭く曲がるスライダー、90~100キロのスローカーブを使い分ける投球に、さらに厚みを加える算段だ。
ゆったりとした2段モーションから緩急自在に打者を翻弄(ほんろう)し、昨年8月には念願の4安打無四球で初完封を成し遂げた。右腕エース山本由伸に次ぐ11勝8敗で防御率3・16と安定感が光り、日本一を決めた日本シリーズ第7戦の勝利投手にもなった。
ただ全体評価は「調子の波が大きかった」と首を振る。13勝4敗で新人王を取った2年前の好調時を思い返し、かえって調子を崩した場面があったという。「あまり考えすぎないことが大事」と振り返り、課題を見つめて「波をなくす」投球を目指す。
キャンプ前半はブルペンでフォークを織り交ぜながら腕を振った。「完成度はまだまだ」と試行錯誤が続いている様子だ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に選出され、3月9日の初戦を見据える。WBC使用球への適応を含め、本格的なフォークの習得に励む。「日本中と沖縄の人たちを盛り上げたい」と、持ち前の強心臓で世界一を目指す。そして、オリックスの左腕エースとして2年連続の日本一をつかみにいく。
(謝花史哲)