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沖縄の男女格差を全国と比べてみた 都道府県版の2023年度指数を公開


この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 都道府県別ジェンダーギャップ指数について、沖縄は昨年に続き「経済」は1位と2年連続全国トップだった。「教育」は昨年の15位から今年は9位に浮上、行政は16位と前年と変わらず、政治は28位で昨年の30位から僅かに上昇した。経済が1位とは言え、男性の所得も低く、男女差が出にくいことなどが背景にある。4分野の順位について背景を探る。

 >>沖縄のジェンダーギャップ指数、識者の見方は?
 

 

政治 7町村、女性議員ゼロ

 政治分野の沖縄の指数は0・146と全国28位だった。昨年は0・135(30位)で若干順位を上げたものの、ほぼ横ばいとなった。統一地方選が昨年9月にあり、女性議員がゼロだった市町村議会が減ったが、いまだに7町村で女性議員がいない。

 一方で、県議会は48人中7人が女性で、全国では10位と健闘する位置にある。歴代の県知事や現職の市町村長で女性はおらず、指数は「0」だった。衆参両院の選挙区選出議員は男性5に対し、女性は1人となっている。

 三浦まり教授は「政策の意思決定の場に女性が少ないと、ジェンダー平等政策の実現を損ねる」と指摘した。

 「政治」「行政」「教育」「経済」の4分野のうち、それぞれ1位となった都道府県の指数を見ると、政治分野の男女格差が最も大きい。全国的に女性の政治参画に遅れがあることが浮き彫りになった。

 

行政 管理職登用、上位に

 教育委員会を除く、県の管理職(課長担当職以上)の男女比の指数は、沖縄県は0・2と3位だった。しかし、県の大卒程度採用の指数は0・538と32位。県庁の女性採用の順位は高くないが、管理職は上位にあることから三浦まり教授は「採用以上に管理職に登用されている仕組みがあるのが沖縄の特徴だろう」と分析した。

 一方、女性副知事はおらず、市町村の防災会議の男女比は37位と低く、指数は男女平等を示す1にほど遠い0・092だった。

 副知事の男女比は、今回の分析で追加された新指標。増やすのに時間がかかる女性管理職とは異なり、知事の意向次第で女性比率を高められる特徴がある。

 10の指標を踏まえた沖縄の行政分野の順位は16位(指数は0・268)だった。

 身近な地方自治の政策立案や執行の場でのジェンダー平等が進むことは、暮らしやすさにもつながる。

 

教育 男子の進学率低く

 教育分野は、男女別の大学進学率(4年制)や、校長ら管理職の男女比などにより「教育を受ける側」と「教育を提供する側」の双方から分析した。

 4年制大学の進学率について沖縄の場合女子は48・7%(全国平均47・7%)、男子50・4%(同52・8%)と、全国平均を女子は上回り、男子は下回っている。

 昨年は女子の方が男子より進学率が高かったが、今年は男子をわずかに下回った。進学率の男女差の全国ランキングは6位だった。

 校長の女性比率では、中学と高校と上がるにつれ低い結果となった。全国的に同じ傾向だった。小中高校の副校長・教頭の男女比は、全国で39位(指数は0・223)だった。

 全体的な教育の順位は9位と昨年の15位より上昇したが、三浦教授によると「進学率のウエートを高めたので、その結果順位が上がっていると考えられる」と述べた。

 

経済 家事時間、女性5倍超

 経済分野の分析で男女格差が最も小さかったのは沖縄で、2年連続トップとなった。沖縄は「社長数の男女比」と非正規など「フルタイム以外の仕事に従事する男女間の賃金格差」の指標で最も差が小さかった。

 ただ、賃金の男女格差が小さい順に並べると、沖縄など上位は地域別最低賃金の額が低い傾向があった。女性が収入の高い男性と同等に稼げているわけではなく、男性の賃金が相対的に低いため、女性との格差が小さい可能性がある。

 福井県立大の塚本利幸教授(社会学)は「共働き率が高く、女性が家事に育児、介護も担って多重負担になりやすい中、仕事のキャリアアップへの意識を維持しにくい」との見方を示した。

 女性社長の多さは、規模は小さくても自分で働き口をつくるため起業せざるを得ない状況が浮かび上がる。

 「共働き家庭の家事・育児などに使用する時間」の男女差は、31位。1日の平均時間が女性は278分と全国で3番目に長かった。一方で、男性は52分。全国的に男性が担う時間が女性の1~2割台にとどまった。

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