「かめから漏れた」「アルコールが飛んだ」泡盛熟成の悩みを解決 「自動仕次ぎ器」を開発 沖縄・喜屋武商店


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琉球泡盛自動仕次ぎ器を紹介する喜屋武商店の比嘉政義さん(左)、喜屋武善範社長=7日、那覇市泉崎の琉球新報社

 泡盛卸・小売りの喜屋武商店(那覇市、喜屋武善範社長)は、琉球泡盛の「仕次ぎ」が自動で行える「琉球泡盛自動仕次ぎ器」を実用新案登録した。甕を使い手動で行っている従来の仕次ぎを自動化し、メンテナンスも簡単。喜屋武社長は「琉球泡盛伝統の仕次ぎを多くの人に手軽に楽しんでほしい」と期待した。

 泡盛の仕次ぎは沖縄で昔から伝わる古酒の育成法で、複数の甕に製造年の異なる泡盛を貯蔵し、貯蔵年数の最も長い古酒を飲んだ後に、2番目以降の甕から順についでいく。

 甕の管理が難しく、酒が漏れたり、カビが生えてしまったり、アルコール分が飛んでしまうことがある。喜屋武社長は「20年育てた古酒が消えてしまい、悔しい思いをする人がたくさんいる」と話す。

 自動仕次ぎ器は上部の注ぎ口から泡盛を注ぐだけで簡単に仕次ぎができる。ステンレス製のタンクは内部が3層に分かれており、一番下の層から泡盛を杯に注ぐと、自動的に上の層から下の層へと泡盛が流れて仕次ぎできる仕組みとなっている。層の間には逆流防止機能が付けられている。ステンレスのため甕のようなメンテナンスは不要で、必要なスペースも縮小できる。県内泡盛酒造所の貯蔵タンクを製造する津嘉山ステンレス工業(沖縄市)が製作に協力した。

 泡盛に関わり始めた45年ほど前から、仕次ぎの効率化を実現したかったという喜屋武社長は「自動仕次ぎ器で仕次ぎの古酒の味わいを知り、その人たちが甕の仕次ぎに取り組めば泡盛文化が継承されていく」と語った。

 自動仕次ぎ器は30リットル用が24万円(税込み)、100リットル用が31万円(同)。問い合わせは喜屋武商店098(868)5270。
 (玉城江梨子)