「反対」嫌がる若者に「反戦」どう伝える? 「運動も変わらねば」など声 学習会に110人 沖縄・伊江わびあいの里


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わびあいの里の謝花悦子理事長(左)、ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会の山城博治共同代表(中央)らが語り合ったシンポジウム=4日、伊江島はにくすにホール

 【伊江】非暴力の反戦平和活動に生涯をささげた阿波根昌鴻さん(2001年死去)の思想を受け継ぐ、伊江村の「わびあいの里」(謝花悦子理事長)は4、5の両日、同村の伊江島はにくすにホールで学習会を開催した。ロシアのウクライナ侵攻が続き台湾有事も叫ばれる中、反戦・反基地の思いをいかに若い世代に伝えるか語り合った。

 学習会は21回目。4年ぶりの対面開催で、全国から約110人が集まった。4日は「沖縄を二度と戦場にしないために今何をすべきか」をテーマに、シンポジウムが開かれた。謝花理事長は、戦後70年余を経て、里を訪れる人々からも戦争への恐れが薄れていると感じていることを指摘し、「戦争体験者として危機感を感じる。阿波根は『平和の武器は学習だ』と言い続けた。学ばなければならない」と強調した。

全国各地から集まった学習会参加者

 ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会の山城博治共同代表は、南西諸島の軍備強化などに触れ「沖縄は決して戦場にはならないという声を発信しなければならない。数万人単位の全県組織を立ち上げたい」と語った。

 また2月の集会の準備中に若者から「怒りや憎悪に満ちた抗議活動には入っていけない」との意見があり、対話の末、スローガンから「反対」「撤回」の文言を省き、表現を和らげるなど工夫を重ねたことや、その結果、集会に参加した高校生から「怖かったが、来て良かった」と前向きな反応があったことを報告。開かれた大衆運動を築くため、若者の声にも耳を傾ける必要性に言及した。会場からは「若者は『反対』という言葉を嫌がる。時代は変わっており、運動も変わらねばならない」「学校での近現代史学習が足りない」などの声が上がった。

 ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会の石原昌家共同代表がオンラインで基調講演し、戦争絶滅を目指し戦後の沖縄で展開された「世界連邦政府」樹立運動の再開を呼びかけた。5日は、阿波根さんの精神を引き継ぎ「沖縄を平和発信の場にする」との平和宣言を採択した。
 (岩切美穂)