沖縄電力社長、料金値上げ「早い時期に認可が下りるよう希望」 沖縄県議会予算委が参考人招致


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予算特別委員会で委員からの質問に答える沖縄電力の本永浩之社長=14日、県議会

 沖縄県議会の予算特別委員会は14日、沖縄電力の本永浩之社長を参考人招致し、電気料金引き上げに関して意見聴取した。岸田文雄首相が厳格な審査を指示したことで5月以降になると見込まれる値上げについて、本永氏は燃料費高騰が経営を直撃したことから申請に至った経緯に触れ「早い時期に認可が下りるように希望する」と理解を求めた。県議会各会派の9人が同社の経営効率化や、再生可能エネルギー導入の取り組みなどをただした。

 予算特別委員会での参考人招致は初。県議会では、沖電が前回値上げを申請した1980年、文教厚生委員会で当時の久手堅憲次社長を招いた例がある。

 14日の委員会では複数の県議が、沖電の値上げ率が本土の電力大手より高いことや、現時点で値上げを申請していない九州電力と比較して電気料金に大きな差が生じることを指摘した。本永社長は化石燃料への依存度が高く、地理的、規模的な制約から原子力や水力、地熱といった電源の導入が難しいとし「原子力(発電所)が稼働している、稼働していないということが料金に与える影響は大きい」と付け加えた。

 下地康教氏(沖縄・自民)は沖電社員の給与水準を取り上げ、全国の公益企業の平均値などを基準とした算定は「県民の感情としては高いのではないか」とただした。本永氏は「全国の指標を使い、最終的に消費者物価指数などから地域の補正を入れて導いている」と説明した。

 2021年度の沖縄電力の有価証券報告書によると、社員(平均年齢41.8歳)の平均給与は784万8219円。役員の平均報酬得は2760万円(非金銭報酬を含む)となっている。

 當間盛夫氏(無所属の会)はさらなる構造改革や資産売却を通じ、値上げ幅を3分の1に抑える修正をすべきだと追及。本永氏は、岸田首相が厳格な審査を指示したことにも触れ「電気事業者としては重く受け止めており、審査の動向に真摯(しんし)に対応したい」と話した。

 電気料金を巡っては、県と政府が県内の全契約者を対象に計104億円の追加支援策をまとめた。本永氏は値上げ率の緩和につながるとして「ありがたい措置で感謝申し上げる」と述べた。県は15日、関連する補正予算案を県議会に追加提出した。

(當山幸都)