PFAS、米国内ではより厳しい基準に 沖縄の自治体「国内基準、まだ甘い」日本の見直し求める声


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米環境保護庁(EPA)が飲料水のPFASの生涯健康勧告値を1リットル当たり70ナノグラムから4ナノグラムへと大幅に厳しくした規制案を発表した。2016年に取水源で高濃度のPFASが検出された北谷浄水場から給水を受ける自治体の首長からは、現在50ナノグラムとする国内基準も厳格化を求める声が相次いだ。

 北谷浄水場がある北谷町の渡久地政志町長は「米国の基準案が示されたことで、現状の国の基準が安全なのかが分からなくなった。より厳格な基準を示してほしい」と強調した。

 沖縄市の桑江朝千夫市長は「市民の健康に関する問題であり、国でも今後、暫定目標値の見直しが図られていくものと思われる。その動向を注視したい」と述べた。

 北中城村の比嘉孝則村長は「日本もEPAが公表した基準値に近付ける策を取ってほしい。基地の立ち入り調査も含め、しっかり原因を追及する必要がある」と話した。

 中城村の浜田京介村長は「米国が厳しくするならば日本も当然整備が必要だ。住民が安心安全な環境で生活できるよう、国策として真剣に取り組んでほしい」と訴えた。

 那覇市の知念覚市長は「4ナノグラムとした根拠を検証した上で、日本もそれに倣うような形でいくべきだろう」と述べ、国内基準値の厳格化を求めた。

 2020年に水道水から国の暫定指針値を超えるPFASが検出された金武町。今年2月に取水源を汚染された地下水から県企業局水に全量切り替えた。仲間一町長は「日本の現行基準は世界的にもまだ甘く、健康被害についての国の説明も曖昧だ。米国の基準策定が、安心して飲料水を利用できる国内基準を整備する契機になるといい」と語った。
 (新垣若菜まとめ)