「離島割」継続に黄色信号 JTAとRACの値上げで競合と価格差 石垣、宮古路線


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沖縄県庁

 県が離島住民の航空運賃を約4割低減する負担軽減事業(離島割)について、「那覇―石垣」と「那覇―宮古」の2路線の見通しが不透明になっている。路線を運航する航空会社のうち日本トランスオーシャン航空(JTA)と琉球エアーコミューター(RAC)の2社が4月18日からの値上げを表明し、価格差がないことを前提とする離島割の制度が適用できなくなる可能性が出ているためだ。県交通政策課は「競合他社の動向を注視している状況だ」と説明した。

 JTAとRACは今月3日、離島を発着する17路線の運賃について4月18日から9~15%引き上げると発表した。離島割対象路線のうち、那覇―石垣は2社のほか全日空(ANA)とソラシドエアが、那覇―宮古はANAが就航している。15日時点で、ANAとソラシドエアは該当する路線の値上げを発表していない。このままなら現在同水準となっている航空運賃に価格差が生じることになる。

 県交通政策課担当者は「同一路線で価格差がある場合は競争の阻害につながることになり、公金の投入は制度の立て付けとして厳しい」と語った。

 離島割は沖縄関係予算の一括交付金を活用して2012年度に始まった。12の航空路線が対象で、同一路線で価格が競合していなければ、値上げ分も含めて約4割を県が負担する。(當山幸都)