世界自然遺産に登録されている沖縄島北部の国頭、大宜味、東の3村で屋外にいるネコをゼロにすることを柱とした県、3村、環境省沖縄奄美自然環境事務所の5者の共同計画に関して、県環境部は13日、来年度初めからの開始を延期することを明らかにした。計画案に対して県民から募集した意見の取りまとめに時間を要しているため。県は今後、5者で計画案を調整し、結果を公表した上で、来年度半ばごろには計画を開始したい考え。
沖縄島北部の世界自然遺産登録地では、野生化したネコ(ノネコ)がヤンバルクイナやオキナワトゲネズミなどの希少な固有種を捕食していることが確認されている。
また、ふん尿や悪臭、人獣共通感染症など屋外のネコが要因となって公衆衛生上の問題が発生する可能性も指摘されている。
これらの状況を踏まえ、計画案では(1)森林域でネコをゼロにする(2)飼いネコの不適正飼養をゼロにする(3)屋外にいる飼い主不明ネコをゼロにする(4)北部以外からのネコの遺棄をゼロにする―などの目標を設定。屋外にいるネコを捕獲・保護し、23年4月~33年3月の10年間で目標を達成するとしている。
この計画案に対して、県環境部自然保護課によると、647個人・団体(暫定値)から意見が提出された。生態系保全の観点から賛成する意見があったほか、ネコの捕獲・保護が殺処分につながる可能性があることを理由に反対する意見や、飼い主への返還・新たな飼い主への譲渡のための周知期間(10日)が短いとする意見、動物愛護団体との連携を強化するよう求める意見が上がっているという。
自然保護課は「県は譲渡推進に取り組んでいる。そのためにどのような周知が効果的か、5者で検討していきたい」とした。
(安里周悟)