沖縄県議会予算特別委員会は20日、電気料金の値上げに関する審議で、県工業連合会の古波津昇会長を参考人として招き、意見聴取した。古波津氏は昨年から続く燃料費高騰で、大口の「特別高圧」と呼ばれるメニューでは既に電気代が月額5千万~6千万円上がっている会員企業もあると説明。県と政府による計104億円の追加支援策を評価しつつ、10月以降も継続する必要性に言及した。
県工業連合会は約320社の会員を抱える。特別高圧の契約はうち4社で、全体の9割が一般事業者向けの「高圧」、残り1割程度が小規模な「低圧」の契約となっている。契約により、自由料金メニューは値上げが始まっているものもあり、規制料金は国の審査を経て5月以降の引き上げが見込まれる。
高圧と低圧については、政府の負担軽減策で今年1月分から値引き措置が始まっている。古波津氏は、政府支援の対象ではない特別高圧に対して、県が独自の補助をまとめたことについて「いち早く県がギャップを埋めたことは非常にありがたく、評価している」と述べた。
一方、県と政府が追加支援策としてまとめた計104億円の財政措置は今年9月までとなっている。古波津氏はエネルギーコストは一時期より下落傾向にあるものの、ウクライナ情勢など先行きは依然不透明だとして「10月以降も同様の策を練っていただいて、県も一緒に政府に要請していくことは継続する必要がある」と語った。
また、県外から流入する安価な「ダンピング製品」もあり、市場競争の観点から価格転嫁に踏み切るのが困難な状況があると強調。「工業関係では電力と水が重要なファクターになる」とも指摘し、電気代値上げは水道事業を担う県企業局の財政にも影響を与えていることから、水道料金上昇に対する懸念も示した。
(當山幸都)