自分を認める気持ちが大切 利用者同士で勇気「共有」も センター利用で93%が復職 <休職を乗り越えて・下>


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 うつ病などのメンタル疾患で休職した人に復職支援(リワーク)を行う沖縄障害者職業センターによると、リワーク開始者は毎年40人前後で推移しており、2005~21年度の利用者は述べ約570人に上るという。21年度は45人が利用し、復職率は93.5%だった。職場のメンタル疾患について関心が高まっていることもあり、個人や事業主からの問い合わせも増えているという。

曜日ごとに設定された講座やミーティングを紹介する名倉彰子所長=那覇市の沖縄障害者職業センター

 21~23年に支援を受けた利用者125人の傾向では、男性68人(54%)、女性57人(46%)。年代別では40代が43人と多く、続いて30代37人、20代23人、50代22人となっている。休職時の診断は適応障害などを含む、うつ病が約8割だった。業種別では、情報通信が30%と最多で、金融保険業やサービス業・その他が各14.2%、医療福祉12.5%、卸小売業8.3%などだった。

 同センターの名倉彰子所長によると「早すぎる支援は症状が悪化する恐れがあるため、気持ちや生活リズムが上向いた頃が適切」という。

 対象は雇用保険加入者で、支援過程は(1)会社や主治医との相談(2)回復状況や主治医の見解を確認するコーディネート(3)通所や作業体験を通してリワーク支援計画を策定するプレリワーク(4)各種の個別プログラムを行う本支援―となる。

 本支援では、ストレス対処や相手の立場を尊重した気持ちの伝え方、自分が描くキャリアと職場における役割をすりあわせる講座などがよく利用されている。利用者同士のミーティングを経験することで、「同じ境遇の人が先に復職していく過程を見ることで勇気をもらえた」との声もある。

 同センターのリワーク支援は開始から約18年。これまでに約250社の企業が利用し、協力医療機関も約90機関に増えているという。リワークカウンセラーの森脇聰子さんは「病気などの影響で自己否定が強い人でも、リワークを通して自分を認める気持ちが芽生えると、振る舞いなどが目に見えて変化する。自信が回復されれば復職につながる」と語った。
 (嘉陽拓也)


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