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学校でもシェア・リサイクルを<伊是名夏子100センチの視界から>144


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イラストも描き、手作りした結婚式の招待状

 アメリカの大学に留学していた時、校内の本屋の一部に中古の教科書を売るコーナーがありました。すぐに必要な本が安くで買えたのは、とてもありがたかったです。また大事なところにはマーカーが引かれていたり、メモ書きがされていたりすることもあり、その上に自分の学びを重ねているようで、おもしろかったです。20年前の話なので、オンラインの授業も進む今は別の方法もできているかもしれませんが、当時の私は、この教科書リサイクルに感動しました。

 学年末のこの時期、子どもが幼稚園や学校から持ち帰ってくる物の多いこと。使わなくなった色鉛筆やサインペン、算数セットやコマ、制服や指定のカバンなどをどうするか、頭を悩ませます。各学校や地域で、譲りたい人と、中古を手に入れたい人をつなぐシステムがあったらいいのに。最近は物や場所をシェアすることも多くなり、カーシェアやレンタルスペース、フリマアプリが人気ですが、学校で使う物にもシェアやリサイクルを選べたらいいのにと思います。毎日使う鉛筆や教科書も、個人所有ではなく学校でのシェアを選べたら、忘れ物が多い子どもは困りごとが減るかもしれません。また障害があったり、特性のあったりする子は、机や椅子、教科書をはじめ、より自分に合った物が必要なことがあり、シェアが難しいこともあるでしょう。その時はできる限り個人負担を減らし、公費で賄えたらと思います。

 シェアやリサイクルをし、なるべくゴミを減らしたい私は、昨年の引っ越しでは、使わなくなった物の処分に時間をかけました。友だちに譲ったり、SNSで欲しい人を募ったり、子ども支援やホームレスの団体に寄付をしたりしました。そして新しい部屋で使う物は、すでにある物をリメークし、購入する時はできる限り中古を選ぶようにしました。新品は原材料だけでなく、機械を動しかたり、運んだりと、目には見えにくい多くのエネルギーが使われているからです。買う時には、環境や人に配慮した企業の商品を、時には選びたいです。人にも環境にも優しい、持続可能な生活は、時間や手間がかかり、めんどくさく感じることもあります。またどれが環境にいいのか、分からないこともあります。でも考えすぎ、頑張りすぎて、自分が苦しくなっては本末転倒です。できることから積み重ねていけたらと思います。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。