故・中村哲医師の映画上映 20年超取材した監督がみた「仁義の人」とは 沖縄・那覇


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故中村哲医師の人柄などを語る谷津賢二監督(左)と、永戸祐三さん=21日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 アフガニスタンとパキスタンで35年にわたり支援を続けた、故・中村哲医師のドキュメンタリー映画「医師 中村哲の仕事・働くということ」の上映会が21日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれ、約300人が来場した。

 上映後、日本電波ニュース社の谷津賢二監督が映画で描き切れなかった中村医師の姿、人柄などを語った。

 谷津監督は1998年4月、アフガニスタンとパキスタン国境の医師がいない山村で活動する中村医師を取材した。以後、2019年5月までの21年余、現地を25回訪れ、約1000時間撮影してきた。

 47分の映画では、病や戦乱、干ばつに苦しむ現地の人々と対話を重ねて信用を築き、現地の人々と同じようにスコップとツルハシを手に、泥にまみれて25キロにおよぶ用水路を建設した中村医師の姿を、残された言葉を交えながら描いた。

 谷津監督は民族、文化、宗教、言語が異なる人々に敬愛された中村医師を「他者を慈しみ、正しく生きた、まさに仁義の人だった」と語った。その上で「中村医師がアフガニスタンで向き合った病や戦争、貧困、差別、格差は日本にもある」と指摘。それぞれの人がそれぞれの場で最善を尽くすことで社会を少しずつ変えていくことができると、中村医師が語ったことを紹介した。

 上映会はワーカーズコープセンター事業団・沖縄が主催。4月23日午前10時から浦添市仲間のてだこホールでも開かれる。問い合わせは比嘉盛人さん、電話070(4387)7001。
 (安里周悟)