「軍は国民を守らない」祖父母らを日本兵に殺された永山さん “軍国少年”が疎開先から戻り故郷・今帰仁で聞いたこと


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「軍隊は国民を守らない」と話す永山恒さん=10日、浦添市

 【今帰仁】今帰仁国民学校集団学童疎開団の1人として、終戦を宮崎県で迎えた永山恒さん(90)=浦添市=は、疎開で離ればなれになった祖父母と大叔父を日本軍の敗残兵に殺害された。永山さんは「軍隊が守るのは国体であって国民ではない」と指摘し、自衛隊の南西諸島配備などに危機感を募らせる。

 永山さんは疎開先から今帰仁村に戻った1946年9月、同村に残っていた祖父の与那嶺静行さん、祖母のツルさん、大叔父の与那嶺静正さんの3人が日本兵に軍刀で斬り殺されたことを村民から聞かされた。

 永山さんの妹の伊集園子さん(82)も、親類から3人の殺害について聞かされた。伊集さんによると、45年6月、与那嶺さん一家は突然やってきた日本兵に連れ去られ、道端で惨殺された。遺体はむしろが掛けられた状態で放置されていたという。「おじいさんは活発な人で商売が上手だった。集落の中心的な人物だったので目を付けられたのかもしれない」と述べた。

 映画監督の三上智恵さんは本紙連載「虐殺者たちの肖像―沖縄戦の深い闇」の中で、3人は嘉津宇岳の山麓に潜んでいた渡辺大尉らにスパイ扱いされ殺害されたと記している。永山さんは「疎開船が魚雷で攻撃されそうになっても友軍ならはね返すと信じていたくらい軍国少年だった。しかし、日本兵の家族殺害で軍隊は国民を守らないと気づいた」と話した。
 (松堂秀樹)