聴く人の心に語り届けて 音訳朗読の団体「ブーゲンビリア」が活動終了 沖縄・宜野湾


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活動を終えた音訳朗読ボランティアグループ「ブーゲンビリア」の(前列左から時計回りで)大山ゆき子代表、花城君子さん、仲村涼子さん、積元子さん=24日、宜野湾市内

 【宜野湾】宜野湾市を中心に活動していた音訳朗読ボランティアグループのブーゲンビリア(大山ゆき子代表)が昨年、活動に幕を下ろした。「優しい心くばりに温かい言葉を添える」を理念に公民館や学校などを回り、聴く人の心に響くような語りを届けてきた。大山代表(78)は「たくさんの素晴らしい仲間に出会えた。これからはそれぞれができる場所でできる時に頑張ってもらいたい」と話した。

 宜野湾市社会福祉協議会が開いた朗読講習会で、視覚障がい者から提案があったのが始まりだった。大山代表が中心となり、2010年に10人前後で音訳と朗読を行うグループを立ち上げた。アナウンサーや小学校教諭が講師を務める音訳講習会などにも参加し、技術も磨いた。これまで約100回の朗読会を開いた。

 希望者の家に出向いて、本を読むこともあった。「宜野湾市史をご希望された時は大変だった。分厚い上に難しい漢字は出てくるわで、読み終わるのに3年はかかりましたね」と大山代表は笑う。

 時には市外での朗読会も。約8年前に那覇市のジュンク堂で朗読会を開き、読み手として10人が参加。そのうちの1人である仲村涼子さん(54)は「涙、涙でした。読み上げた本では母親役を担当したのですが、感情が入りすぎたのか、目の前の来場者が泣いていて私もつられそうになって」と懐かしそうに振り返る。

 「私の場合は泣くぐらいの大笑いでしたよ」と話すのは花城君子さん(77)。自身が住む市野嵩の公民館で方言を交えて読んだ「沖縄の由来ばなし」(14年、沖縄文化社出版)は高齢者に大受けで大変な盛り上がりだったという。「本の通りにはできなかったが、喜んでもらえたので楽しくできた」。

 大山代表の声掛けで、グループへの参加者も増え、入れ替わり立ち替わりで総勢約30人になった。4年前から活動に加わった積元子さん(75)は、間合いや発声練習にも力を入れていたという。「人前で読むという緊張感もあって張りも出る。喜ぶ姿を見ればこちらも元気になるのですてきな時間だった」と話した。

 グループは朗読などの活動は終えたが、現在は録りためていたCDなどを市内外の教育委員会に配布している。大山代表は「私たちの活動が皆さんの役に立てていたらうれしい。これからもきれいな言葉できれいな心で生活していきましょう」と語り、ほほ笑んだ。
 (新垣若菜)