【宜野湾】宜野湾市喜友名の住宅街にあるドーナツ屋「OLY CAFE」はティータイムの憩いの場として、市内外から人々が集まる。オーナーの伊藤隆司さん(45)が毎朝、愛を持って揚げるドーナツは大人から子どもまで、誰が食べても笑顔であふれる。一番の人気、「オリードーナツ」はほのかな甘みと、口溶けのいい食感が売りのシンプルな一品だ。
伊藤さんは高校卒業後、友人の誘いで、大手ドーナツ店でのバイトを始めた。ショーケースに並ぶ色とりどりのドーナツに、客が悩みながら選ぶ姿や、「おいしい」と笑顔を見せる瞬間のとりこになった。社員時代も含めると19年間、ドーナツに囲まれる生活を送った。
ドーナツを作る日々に満足していたが、次第に「自分のドーナツが作りたい」という思いが募った。独立しようと意を決して、2015年に退職した。その後は全国各地のカフェを巡り、人気店の内装や商品を研究した。
3年の修行期間を終え、18年に現在の店を開業。店名は16世紀頃のオランダで食べられていた、ドーナツの起源と言われる「オリークック」から着想を得た。
伊藤さんのドーナツの特徴である口溶けの良さ。軟水を浄水したものを使っており、生地が滑らかな仕上がりになるという。さらに、油っこくない仕上がりで、1日おいても、買ったその日と変わらないおいしさを楽しめる。
一番人気のオリードーナツはパン生地のようなイーストドーナツで、表面に糖蜜をかけただけのシンプルな作りだ。生地にはエクストラバージンオイルを練り込み、豊かな香りが広がる。伊藤さんにとって「基礎のドーナツであり、店の味を一番体現できる」一品だ。そのほか35種を展開。伊藤さんは「ドーナツは人と人をつなげてくれる。これからもそのお手伝いができるドーナツを作りたい」と今日も工房に立つ。
(名嘉一心)